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[ Romeo Azul ]
Quiet Answer Trio
UKSL-0007

UKSL_0007_Quiet Answer_Trio+.jpg

タイトル:
[ Romeo Azul ] / Quiet Answer Trio
価格:¥2,200 (税込)
規格番号:UKSL - 0007
POS/JAN:
CD発売:2021月9月1日
Tunes他デジタル配信:2021年7月26日

01 The River  / composed by Daisuke Suzuki                          
02 Romeo Azul / composed by Jyoji Sawada  
03 NINA / composed by Daisuke Suzuki          
04 予感 / YOKAN / composed by Jyoji Sawada    
05 羅針盤 / RASHINBAN   / composed by Jyoji Sawada  
06 まどろみ / MADOROMI  / composed by Jyoji Sawada
07 汀の花 / MIGIWA NO HANA / composed by Daisuke Suzuki  
08 おかえり/ OKAERI / composed by Jyoji Sawada

Produced by Jyoji Sawada
Co-produced by Takashi Mori


 

沢田穣治 
Jyoji Sawada  / Contrabass

鈴木大介 
Daisuke Suzuki / gut guitar

馬場孝喜 
Takayoshi Baba / electric guitar

Produced by Jyoji Sawada
Co-produced by Takashi Mori

Recorded at studio BOSCO ,Shiga
Recording ,Mixing & Mastering Engineer : Takashi Mori [BOSCO MUSIC,Unknown Silence]

Photo by Jyoji Sawada

Art direction & Design:Hi-Fi Company Ltd. ( Tom Mizuta )

Special Thanks

Motori Romanza
studio BOSCO
Beulmans Yoshioka

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昨日よりも今日、今日よりも明日。

赤松敏弘(ヴィヴラフォーン奏者)

音楽を聴いて楽しんでいる時、大別すると二つの楽しみ方があるという。

一つは音を奏でたり歌ったりする姿や光景を思い浮かべながら楽しむタイプと、音から受けるイメージを情景や絵画を鑑賞するように楽しむタイプ。これはいづれも動画とは無縁で、二つともそのアルバムに沿えられたアーチストなどの写真やジャケット・デザインから誘発されるイメージがヒントとなって想像力を膨らませて楽しむ。それらは動かないから自分で勝手に動かせてしまうところまで想像力が働く。それと共にその周辺にある個人的な事象の記憶までをも巻き込みながら・・・・。

音楽の魅力の大部分は、この誠に自分勝手に想像力を膨らませて楽しめるところにあり、それは時間も場所も選ばないところで楽しめる。こんな娯楽は音楽と文学だけにしかない。

 

ところが動画というものが音と同時に走り出すと、たちまち画面の中のトリックに想像力が引きずられる事になる。もちろん制作側が伝えたい事を正確にイメージした良心的な動画を作っていたとしても、それに制御されて聴き手側の想像力が膨らむ前に誘導されてしまう気がする。出来るものならそんな事には見切りを付けてもっと自由な想像力を楽しめるスペースを残して欲しい。想像力というのは誰をも制御するものではないと思う。最近はそう思う事が多い。

 

作曲家、コントラバス奏者の沢田穣治と出会ったのは1993年の秋で、その年に産声を上げた今や国内最大級のジャズフェスティバルにまで成長した「横濱ジャズプロムナード1993」の時。出演するジャズレジェンド・ピアニスト市川秀男さんのグループのリハーサルでだった。この時は市川さんの自宅でリハーサルが行われていて、ロン毛でベースを弾く時にまるで舞うようにピチカートを演奏する沢田穣治の姿が目に焼き付いている。当時お互いにファンハウス・レコードのプロデューサーK氏との繋がりがあり、会う以前から名前と存在は知っていた。僕にはその時のコントラバス奏者としての沢田穣治のイメージが強く残ったのだけど彼が作曲家として活躍する姿を知るのにそんなに時間は掛からなかった。

近年、それぞれに自分のフィールドを歩んで来ると、不思議な事に昔の繋がりがまるで近況報告をするように巡って来る。離れていれば離れている程に、その人の歩みをしっかりと受け止める事が出来る。

 

一週間ばかり自宅を離れることがあって、その時に沢田穣治から届いた今日の音源をダウンロードしてCD-Rに焼いて持って行った。仕事ならデータファイルをパソコンに偲ばせるが、仕事じゃない限り聴くという行為を日常からリセットする為に、CD-Rというひと手間かかるものに変換するへんな癖だ。ただし、この癖、ひと手間に値しないものには施さないからへそ曲がりなんだろう。

 

 

自宅を離れる時に焼いたCD-Rには、アルバムタイトルも、曲名も、誰が演奏しているのかも表示されず(もちろん再生コンポ側のお話し)沢田穣治がベースを弾いている事以外、まったく手掛かりを得ずに真っ白な状態で毎日聴けたのがかえってよかったかもしれない。聴きながら綴ったメモはM-1から8で、曲名は帰宅後にアルバムタイトルや演奏者情報とともに追筆。誰の作曲かも今まで判明しなかったのだけど、それは本文から読み取っていただければうれしい。

 

お気に入りのプレーヤーにセットしてスピーカーから飛び出して来たのが、ただならぬ気配を感じさせるギターのイントロダクション。この瞬間にこのアルバムを聴くシチュエーションと姿勢を自分の中で嗅ぎ分けた。

 

1曲めはゆったりと流れる哀愁に溢れた時間。聴き進めば進むほどに、恐れおののいていたイントロから徐々に解放されて行く安堵感。

 

不思議なスイング感を持った2曲め。一つ一つ独立した音の綴れ織りのような世界。何度も繰り返されるうちにそれが不思議な形をしているひとつの彫刻である事に気付く。ピアニスト市川秀男の世界と通ずるものがある。

 

優しく手を差し伸べて来るようなギターのアルペジオに誘われて始まる3曲目は、その明朗な流れに反してメロディーひとつひとつには小さな闇が抱えられている。それには「まどろみ」という言葉が似合う。拍子が代わりパルスに変化が及んでも、その小さな闇が最後まで心の渕に留まりつつ、独特の世界を広げて行く。

 

4曲目は沢田穣治の真骨頂とも呼べる世界のセッションから始まる。三人のスペースを伴ったフリー・インプロヴィゼーションから向った先に広がるバラードの世界に1960年代後半のジャズロックが発していた「さまよう」香りを感じた。

 

5曲目は聴きながらなぜかモーニング、朝の光景。思考回路が目覚めと共に徐々に末端神経へと通電するようなそんな具合。毎日のローテーションを繰り返しているのに、いつも何かが違ってくるユーモラスな印象も。

 

とうとうと流れる回想の世界の6曲目。

 

まるでブラジルのミナスのようなカラフルなイントロから始まる7曲目は躍動と脱力。肩の力が心地よく抜けて行く。ギターのアルペジオがリードする世界でそれぞれのソロもドラマチックで聴き応え十分。

 

最後にギターのデュオで締められるこのアルバム。

 

聴き終えて思うのは、それぞれが見て来たものが反映されている音楽は共感できるから何度聴いても飽きない。そして聴く度に少しずつ印象を変える部分があるので楽しい。

一度聴いて満足してしまうものもあるとは思うけど、好きで聴き続けられるものは、洋の東西を問わずそこに共感できるものがあるから。年齢も世代も時代も関係ない。日々変化して行く自分の感性を、音で炙り出してくれるものだと思う。

昨日よりも今日、今日よりも明日。

 

ここで沢田穣治が造り上げた音楽は、聴く度にそんな自分に巡り合わせてくれる。

ジャズヴィブラフォン(vibraphone)奏者赤松敏弘の日刊ブログより

Jyoji Sawada

Contrabass

Daisuke Suzuki

Gut Guitar

Takayoshi Baba

Erectric Guitar

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